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【店主に深掘りインタビュー】創業40年を越えるきじやの歴史と魅力に迫る

自然豊かなこの地で40年以上にわたり、ご兄弟で雉(きじ)料理を提供している「きじや」。手作りへのこだわりと情熱で地域に根付いたそのお店。

今回は店主の中島光則さん(写真左)にお時間をいただき、お店の歴史や雉料理への思い、そしてこれからの展望についてお話を伺いました。


—きじやを開業した経緯と印象に残っている出来事について教えてください。

店主:元々は母の実家のちり紙工場に勤めていましたが、故郷の木地屋(きじや)町に貢献できる商売をしたいと考え、「木地屋町に雉料理店開業」の夢を抱きました。

1973年(当時22歳)に熊本県の調理師養成校に通い、翌年に卒業。その後は、滋賀県の彦根にある料亭で7年間の修行を積みました。

1981年に帰郷し、滋賀県より持ち帰ったつがいの雉の羽数を増やすことに。当時は鶏のチャボを利用して、雉の卵を孵化させていました。これが雉飼育の始まりであり、一からの挑戦でした。

実は、雉は獰猛な性格なので、争いを起こしてお互いを傷付けてしまいます。そこが雉飼育の難しさでしたが、この問題を飼育環境を改善することで解決し、3年間で1,000羽に増やすことに成功したのです。

その間に店舗作りも進め、石積や土木工事、溶接などの鉄作業も自分たちの手で行いました。そして、1984年33歳で「きじ料理 きじや」を開業しました。

40年以上きじやを営んできて最も印象に残っている出来事は、令和2年7月に発生した人吉水害です。当店も被害を受け、川沿いの小部屋が30cmほど水没しました。川底も1mほど削られ、大きな石が音を立てて動きました。

自然の力のおそろしさを痛感しましたが、それを乗り越えられたのは、きじやを必要としてくださった多くの方々のおかげです。

—店作りへのこだわりについて教えてください。

店主:やはり手作りへのこだわりが当店の最大の特徴です。料理だけではなく店舗に至るまで、すべて自分たちの手で作り上げています。

例えば、店の建設時に、石を一つずつ自分たちの手で並べて基礎を築きました。開業当初は石がゴロゴロと散らばっている土地で、屋根があるだけの非常に簡素な場所からスタートしましたが、家族全員が協力し合い、母も一緒に働いてくれたおかげで、お店を現在の形にまで成長させることができました。

お店を作り上げるまでには約20年の歳月がかかりました。最初は小さなスペースで営業を始めましたが、お客様の増加に伴い、座席を増やしたり設備を整えたりと、段階的に拡張。常に改善を図り、快適な空間を提供できるように努めてきました。

庭の石積みや座席なども手作りしたことで、お店全体に温かみと個性が生まれ、お客様にも好評をいただいています。こうした手作りの努力が、長年にわたって愛され続ける理由の一つだと感じています。

—雉の飼育や料理に対するこだわりについて教えてください。

店主:雉は野生に近い生き物なので飼育が難しく、独自の飼育方法を構築するまでに時間がかかりました。詳しいノウハウはお話できませんが、今では雉のストレスを抑えて安定して美味しい雉肉を提供できるようになりました。

料理に関しても、全て手作りにこだわっています。例えば、料理のタレは素材の良さを引き出すために独自に配合し、調理法にも工夫を凝らしています。

雉肉は鶏肉とは異なり、骨の構造が複雑であるため、骨抜きには時間と手間がかかります。しかし、そのぶん私たちだからこそ食べやすく美味しいきじ料理を提供できることに喜びを感じています。

また、雉の卵は栄養価が高く、黄身が濃厚で味わい深いため、料理に豊かな風味を加えられます。雉肉は脂肪が少なく高たんぱく低カロリーで、健康志向の方にも好評です。

私たちは、雉のもつ自然な味わいを最大限に引き出すために、常に新しい調理法を研究し、メニューの充実を図っています。こうしたこだわりが、当店の雉料理を特別なものにしていると自負しています。

—これからの目標や展望、そして読者へのメッセージをお願いします

店主:正直、いつまで続けられるかわかりませんが、できる限り長く続けていきたいと思っています。手作りの雉料理を一人でも多くの方に味わっていただきたいですね。

手間暇かけて育てた雉と、心を込めて作った料理をぜひ味わってみてください。自然の恵みとこだわりが詰まった一品です。皆様のお越しを心よりお待ちしております。今のうちにしか味わえないものもありますので、ぜひお早めにお越しください。


自然と調和しながら40年もの間、手作りにこだわり続ける店主の情熱と努力が詰まった雉料理。この機会にぜひ足を運んで、その味と温かいおもてなしを体験してみてはいかがでしょうか。雉料理の奥深さと店主の人柄に触れることで、心も体も満たされることでしょう。